どこの宿より冬萌の此処が好き      富田潮児

  • 2008/06/14(土) 00:20:37

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どこの宿より冬萌の此処が好き      富田潮児
                      「若竹」二月号〈夢窓庵随唱〉より


 今までいろいろなところを旅してきた。

 豪華な調度の部屋もあれば、贅沢な料理を給する宿もあったのだが、この窓から冬萌の景色が見えるこの宿が一番良い、というのである。

 さりげない部屋のさりげない眺め、しかしそこには一番幸せな人と自然の営みがあるのだ。

 富田潮児氏は明治四三年生まれ、主宰していた「若竹」を一八年前に加古宗也氏に継承し、百歳に近い今も健在な詠みぶりである。

 句柄に自在さが加わり、ますます奥行きが深くなった。

 明治、大正、昭和、平成を生き、行き着いた心境の一端が垣間見える佳句である。

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