種なしに種の名残や神迎         津川琉衣

  • 2008/07/04(金) 21:26:49

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種なしに種の名残や神迎         津川琉衣
                        「人」三月号〈千余の手〉より


 商品としての果物は、消費者の意向におもねるように、より甘く、大きく、食べやすく品種改良が重ねられてきた。

 しかし、それは果物自身の本意ではむろんない。

 「種」という生物の根本にかかわる部分を除去されて育てられる姿は、果たして健全なのであろうか。

 「種なし」の果物にある「種の名残」は、「神」の摂理に対する生ある者の抗議の証なのかもしれない。

 「種なし」に「種の名残」があることの発見、そして、そこから派生する思いについて、多言を弄さずに季語「神迎」でぴしりと抑えた考えさせる一句である。

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