落葉して地に明るさを移したる     日比野里江

  • 2008/05/21(水) 07:30:04



  落葉して地に明るさを移したる     日比野里江
                           「耕」二月号〈落葉〉より


 木々いっぱいの紅葉や黄葉。

 冬を迎える樹木は、あるときいっせいに枝を揺らしてこれらの葉を地面に振り落とす。

 青空をコントラストに見上げる位置にあった錦絵がそのまま地上へと舞い降りるのだ。

 天空の華やかな世界が足下に見下ろす形となり、皆が雲上にいるような心持になる、とたとえるのは言い過ぎだろうか。

 落葉には寂しいイメージがあり、俳句もその線に沿って詠まれるのが通常であるが、この句はそれを逆手に取るかのように、落葉の華やいだ側面をさりげなく表現し、皆を納得させるだけの力を持つ。

 作者の長年の修錬がなせる技であろう。