花八つ手夕暮はまだその先に      雨宮きぬよ

  • 2008/06/08(日) 14:17:42



花八つ手夕暮はまだその先に      雨宮きぬよ
                         「百磴」二月号〈雪蛍〉より


 八つ手の花は、いかにも初冬に咲く花らしい控えめな風情をしている。

 大きな円錐形の花穂をなして、無数の小さな白い花が毬のようにいくつも咲くその表情は、これからの厳しい寒さを内包したものとも言える。

 この花は、まだ暖かな陽の残る昼と夕暮の微妙な間合いにこそふさわしい。

 一日が終わる漠とした寂しさ、これから冬へと向かう静かな時の移ろいが「花八つ手」に凝縮されているかのようだ。

 草間時彦氏の句に「淡々と日暮が来たり花八つ手」があり、これに呼応するかのような掲句に余韻の深さを感じる。